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2015年5月 8日 (金)

[エボラ]ウイルスが眼の中に残ってる?

ようやく西アフリカでのエボラの流行にも終息の方向が見えてきているようでありますが、感染拡大時にWHOからのボランティア派遣で現地で働いていた米国人医師のCrozier氏が感染して帰国、治療を受けたというニュースは大きく伝えられて記憶に新しいはず。結局回復し、血液中のウイルスは消滅したのですが、その後左目の異常が続き、検査したところまだ眼の中にはウイルスがいた、ということのようで。





このニュース記事だけではもう一つよくわからないのでさらにネタをあさってみますと、NY Timesの記事 が大元にあったようです(こちらは状況を非常に詳しく記載しています)。確かに片目だけ瞳の色が変わってしまったというのですから明らかに異常とわかるでしょうね。


でこの人、血液中のウイルスは発見されないままであったのですが、眼球中の液体を極細の針を刺して採取するとウイルスが見つかったそう(検査を行う時点ではエボラによる免疫力の低下により眼球中での感染症が起こったものと予測されていたため、結果を受けて一時かなり慌てたようです)。ただし涙や眼の表面からは検出されないというのも不思議で、またどうして眼球中にウイルスが留まる格好になったのかもよくわからない(現在までの研究では、ウイルスが血中に検出されなくなっても、精液中に数ヶ月間残る可能性は指摘されていたそうですが、このような具体的ケースは今まで見つかっていなかった模様)。眼球は免疫系からシールドされ、血液中の特定の細胞、分子を通さないような仕組みになっているそうですが、それが逆にウイルスにとっては居心地の良い環境になり得るのだそう。精巣もその点では同じような免疫系の特別扱いエリアであるようです。


結局この人の左目の異常はおそらくウイルス原因によるぶどう膜炎(ぶどう膜炎自体はウイルス以外の原因によっても起こり、原因不明のケースも結構あるようです)で、放っておけば失明の危険もある病気。ただしこの症状に使える承認された抗ウイルス薬はなく、通常ぶどう膜炎に使われるステロイド系の点眼薬は感染症を悪化させる恐れもあり、実際ステロイドと抗炎症剤のプレドニゾンを併用した当初の治療は上手くいかず、その後未承認の新しい抗ウイルス薬(今のところ名称は非公表)の使用について特別許可を得て、ステロイドと併用、その効果かどうかは明確ではないものの(薬が効いたからではないのでは、という医師もいる)、2,3ヶ月を経て快方に向かっているようです。


エボラはその急性症状が深刻であって死亡率が高いために恐れられていますが、そこから回復した後も、この医師のケースのような眼の病気に加えての関節や筋肉の痛み、慢性疲労、難聴、さらにその他の生存者のケースでも慢性的な疼痛や歩行困難を生じる場合や女性の無月経も多く、また眼の炎症、視野の部分的な喪失を伴う人が40%に上り、ぶどう膜炎を発生させる人もいるという調査もあるようです。


一部の症状は急性期における脳への炎症や一時的な血圧低下が引き起こしたものではないかとのことですが、これだけ多数の感染者が発生し、かつ生存者の継続したケアのデータが得られるケースは今回が初めてでしょうから、これからいろいろとわかってくることも多いでしょうし、対策系の追求も進んでいくのでしょうね。


Crozier氏は4月にも他のEmolyの医師とともにリベリアに渡り、生還した感染者の目の検査などを行うそうです。こうした行動力は素晴らしいと思います。




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