タイトルを見てピンとくる方はバブル直前ごろには多少なりともオーディオ関連に足を踏み入れた人と言えるでしょう。私も学生時代、できることなら欲しいけどどう見ても手が出ない、と思っていた機種です。
私のような40代中盤に入ってきた者にとっては、大学時代がLP→CDの転換期に当たり、その時期まで(ポータブルオーディオのメディアとしてはもう少し先まで)はカセットテープは日常に音楽を楽しむ上では基本のメディアでした。カセットデッキという、その機構としてはかなり厳しい条件のフォーマットで録音・再生を行う機器は、そんな中でもオーディオ機器のひとつとして大変な進化を続けてきたのでありました。
特に1980年代はカセットの最後の全盛期で、相当凝ったものも出ましたし(Nakamichiの、「カセットホルダーを高速反転させるオートリバースデッキ」というのだけは、「そ、そこまでせんでも...と思ったものです)、テープの方にも相当の進化があった時代です。テープメディア自体が消滅しようとしている現在ではほとんど寝言にしかなりませんが。
ともかく、エアチェックやLPのコピーがまだ盛んであった時代、カセットデッキの中には10万円を超える高級機もラインアップされていました。
その頃SONYが出していたカセットデッキの旗艦モデルが←こちらのTC-K777ESII。型番の777は他のコンポでも使われていた数字ですが、カセットでは79年発売の777が系列のスタートで、ES、ESIIと続いた3代目になります。こちらの発売は1985年、でこれがカセットデッキの777シリーズの最後になった機種です。その頃、時代は急速にデジタル化していったんですよね。
基本的に表の外見はESと同じ。FeCrのセレクター(とかDUADとか言ってももう完全死語だわな)がなくなり、代わりにMPX Filterのボタンが付加されています。独立懸架式3ヘッド、クローズドループデュアルキャプスタン、LC-OFC巻線レーザーアモルファスヘッドと、当時の機器の最高のメカニズムを贅沢に取り込んで、シャシーや線材にも質の高いものをふんだんに使用しています。
そして電源部分には尋常ならざる気合いが入っており、本体背面に2つ、もう省スペースなんか知ったことかといわんばかりに飛び出しているのが、オーディオ系とメカニズム系でそれぞれ独立して固定し、相互の干渉を排除したという電源トランスです。ホンマにようやるよなあ、と、当時、雑誌の写真、そして実機を見て思ったものです。
その他いろいろと工夫を施して、当時の希望小売価格は168000円。当時の私にはとてもとても手が出ない価格でありましたが、それが今回、ディープ日本橋の某中古販売店で、OH済み、ヘッドの状態もそんなにいかれていないものが35000円。逆にいうと、25年落ちでも状態の良いものはそのぐらいの値打ちをつけられる、ということでして、試聴してみて出てくる音がとてもすっきり素直に、メカ的な問題もなさそうに感じられたので、即買いとなったのでした。それがもう3ヶ月近く前。
本エントリは実はその時分、3月中頃に用意しかけていたのですが、さあ持って帰って、うちにまだ大量に保管されているテープをいくつか聴いてみようとしたところ、3本めで急にヒュウンとモーターがダウン。電源は入った状態なのにうんともすんとも言わなくなってしまいました。早速購入した販売店に再度持ち込み修理依頼。さすがに上級機とは言えそれなりの期間にそれなりの台数販売された機種ですし、部品もあるところには何とかあるという状態であるようです。まあしかしこうして帰ってくるまでにはかなりの時間がかかりました(いったん返品→部品見つかる→再購入というパターンになった)。
とりあえず、きちんと動作していますので、なるべく大事に使っていきたいと思います(PCMレコーダでのデジタル化が主目的なんですが、だいぶ処分したとはいえまだまだかなりの本数が....)。
ちなみに、もはや若い人には理解できないであろう、当時1本(定価で)2000円近くしたカセットテープ、MA-XGが(使用済みですが)何本かうちにありました。アルミダイキャストのカセットハーフ、という何を考えてるんやと思うような重厚さでして、当時はほとんど「ネタ」的に数本買い求めていたと思われます。まあそもそもメタルテープっていうのも時代を感じる言葉になっちゃってますけど。
さらに写真の手前にあるのが、TDKのカセットテープ型のヘッドイレーザ。カセットデッキのヘッドの帯磁を除くための機器で、カセットをかけるのと同じように使用するタイプです。こちらも随分長いこと使っていなかったのですが、ちゃんと通電しました。まだTDKが「東京電気化学工業株式会社」だった頃のものです。確認してみると、1983年以前の製造ということになりますね。
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